従業員の準備のお役立ちコラム
試用期間の意味、正しく理解していますか?
2017/07/10
採用後、新入社員の職場への定着や、業務スキルの育成に頭を悩ませている担当者や上司の方もおられることでしょう。
新たに採用した社員に対して「試用期間」を設けることは一般的ですが、会社によってはその本質を正しく理解できていないことが多いようです。
以下のような誤解があると、無用なトラブルに巻き込まれてしまう可能性があります。
<ポイント1>試用期間中は自由に解雇できる?
このように考えている会社も少なくないのではないでしょうか。
これは、完全な誤解です。
試用期間中であっても、一般の社員と同じように「客観的かつ合理的理由のない解雇は無効」という労働契約法上の制限があります。
また、試用期間満了後に本採用を拒否するといった場合でも、原則として解雇に当たるため、上記の「客観的かつ合理的理由」が必要となります。
難しい表現になりましたが、簡単にいうと試用期間中というのは
『解雇のハードルが一般の社員より少し下がった程度』
という理解をしておきましょう。
<ポイント2>試用期間中は解雇の予告をしなくてもいい?
こちらも誤りです。
ポイント①で説明したとおり、試用期間満了後に辞めさせるといった場合でも原則として解雇に当たるので「解雇予告」が必要で、予告せずに満了と同時に退職とする場合は、当然に平均賃金の30日分の「解雇予告手当」を支払う義務が生じます。
例外として「試用期間中」かつ「採用から14日以内」に解雇する場合においては解雇予告は不要となりますが、解雇そのものが有効かどうかは別の問題ですので、「客観的かつ合理的理由があるかどうか」という視点で検討する必要があります。
<ポイント3>試用期間中と有期雇用契約は同じ?
試用期間と有期雇用契約は、明確に意味合いが異なります。
有期雇用契約が「期間の定めがある」という雇用契約の一種であることに対し、試用期間は、一つの雇用契約期間の初期の一部にいわゆる『初心者マーク』のようなものを貼るという意味合いになります。
よって「試用期間」の後も雇用契約は継続することが前提となります。